同誌の5-6月号において、当社施工作品の「慶松幼稚園」が紹介されました。
記事参考: 「GA」
丘の頂に立つ、ちょうど半世紀前に完成した「慶松幼稚園」(1968年)の建替えです。
コストを抑えるため仮設園舎での運営は避け、旧園舎をできるだけ長く使えるよう、南側園庭領域に新園舎を建設し、引っ越し後北側に位置する旧園舎を解体しそこを新設園庭とする計画としました。
鉄筋コンクリート造の旧園舎とは対照的に、構造は木造とし、「森の幼稚園」をキーワードに意匠計画が進められました。外構の植生は現在進行形で、季節毎に植樹が行われています。保育室は南北軸上に4メートル×15メートルを基本形とした縦長プランとし、南側にはデッキテラス、北側にはプレイルームさらには縁側を介し園庭へと繋がり、それぞれ直接外に出ることがでます。
南側のデッキテラスには屋根付きの小さなアルコーブを各所に設け、また北側には園庭の観覧席としても機能する縁側を配置し、多様な遊び場を創出することを心がけました。保育領域はトイレと倉庫からなる縦長プランコアにより緩やかに分節されてはいますが、基本的には全体が一室空間であり、建具による間仕切は一切ありません。
多面体に穿たれたハイサイドライトが中央に位置し、一室空間全体に自然光が送り込まれ、建物全体を統合するシンボルとして機能している。彩色計画も含め「木造による温かみ」という枠を超えた荒々しくも包容力のある空間が出現しました。